住職のつぶやき

誕生会

6月15日、お大師さんのお誕生日。東寺の御影堂で誕生会の法要がありました。今年は宗派な役職に就いていることもあり私も出仕させていただきました。

前日も東寺で会議がありました。京都は気温35度というとんでもない暑さでした。午後の3時に会議が終わって駅前のホテルまで10分程歩いたのですが、途中で煮えてしまいそうだったので、お坊さんの格好だったのですがイオンモールの中を横切らせてもらいました。イオンモールありがとう。

でも翌15日は少し温度が下がって30度ぐらいでした。本坊から列を作って御影堂まで歩くのですが途中信者さんや幼稚園の園児たちが手を合わせて見送ってくれました。御影堂の中は涼しく、時折お参りする園児たちの「お大師様、お誕生日おめでとうございます。」というかわいい声が響き、何とも嬉しい気持ちになりました。

今回の法要では普段自坊では着ない色の衣が指定されていました。先代である父はよく本山に出仕していたので持っていたはずとタンスを探していると、たとう紙に包まれた衣が出てきました。表には父の字で「真翆…」と記され、探していた色の衣が入っていました。ありがたいことに父が用意しておいてくれたのです。「女が寺をやると言っても誰も認めてくれない。檀家さんだって認めてくれない」そんな風に言ってたのに。

若い尼僧さんも増えて、時代の変化を感じます。

お大師様、お誕生日おめでとうございます。これからも私達が幸せに暮らせますようお守りください。

空海展

奈良国立博物館で空海展をやっています。京都の本山に用事で出かけたついでに奈良まで足をのばして見てきました。
真言宗というのは国家鎮護、民、つまりは皆が幸せであるように祈る宗派なんだと再確認し、それを祈る真言宗の僧侶であることを嬉しく思いました。
印象に残ったのはお大師さんが弟子の智泉さんの死を悼む文章です。我が子のように慈しみ育ててこられた大事なお弟子さんが若くして亡くなってしまった。「悲しいかな、悲しいかな、…」お大師さんの悲しみが伝わって、その展示の前で涙するのは私だけではありませんでした。
友人の母上が90を越え認知機能も衰え、誤嚥も多くなり、食も細くなって、お世話になっている施設のドクターから胃ろうを作ることを提案されたという。兄妹でとことん話し合った。栄養がとれて前のように元気になるわけではない、ならば自然に枯れて行く方が良いのではないかという結論になった。「親より先に逝くという最大の親不孝は免れそうだよ」と話が締めくくられました。
人は生まれたら死んでいく当たり前のことですが、自分より後に逝くはずの者に先立たれるとお大師さんでさえあんなに悲しむのです。
順番は守りましょう。

足るを知る

最近驚いた事の一つにロシアが景気が良い、経済制裁なんて屁でもないというお話しがある。池上彰先生がテレビ番組でおっしゃっていた。自国内で完結できるから経済制裁されても大丈夫なんだと。私は勝手にあの寒い国は少しでも豊かになるために暖かい土地を手に入れようと昔から近隣諸国への侵略を試みているのだとばかり思っていた。エネルギーでも食物でと自給自足ができるならよその国に手を出さなくてもいいんじゃないですかね?

住職になって間もない頃「ベンツに乗ってシャ○ルのスーツ着て、ブランド物のバッグからブランド物のお財布取り出して『うちはお金がないから(お寺にお金を)納められないんです』って言うんだよ。」と今は亡き従兄に愚痴ったら「そりゃそうだよ。そういう生活をしたいからお金がないんだよ。」とあっさり言われた事を思い出す。

 

許すべきか許さざるべきか

檀家のSさんから電話があった。ここ何年も音沙汰がなかった人だ。10年ほど前に奥さんが亡くなりうちに墓所を求め檀家になった。奥さんの看病で失業中、子供達もまだ中学生と高校生、お金が無いということで葬儀のお布施も形だけだった。もちろんお布施はその人ができることをすれば良いのであって子供達を育てるのにお金を使うのが優先だからそれで良い。そんな状態なのにお墓を建てた。親から借りたのだろうか偉いなと思っていた。そのうち寺に納めるべきものが滞り音信不通に。Sさんの親戚と話をする機会があり「Sさんはどうされてますか?」と聞いたところ意外な話が伝えられた。奥さんが亡くなった時Sさんに保険金などでかなり大きな額のお金が入ったのだと。それらのお金を全てお酒とバクチにつぎ込み、子供達の相続したお金も全て使い果たし、あげくに身体を壊して今は生活保護を受けているという。そのSさんからの突然の電話だった。「兄が亡くなったんだがうちのお墓に入れても良いか」という問い合わせだった。

この後寺をやっていくことになるであろう心優しいうちの副住職に「どうする?」と聞いたら「お骨の行き先がなくなっちゃうならかわいそうだから入れてあげるしかないんじゃない」と答えた。

ちなみに、どこのお寺のお墓も同じだと思いますが、檀家さんは旦那寺でお葬式をしないとそのお寺のお墓には入れません。葬儀屋さんが「お坊さん呼ばないでやるのが流行りですよ」とかいうらしいですけど気を付けてください。

はてさてどうしたもんじゃろのう。

新年を迎えて

明けましておめでとうございます。旧年中のお力添えに感謝いたします。また、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は年賀状で同級生の訃報を知ったせいかいつ何があってもおかしくない年になったことを自覚するスタートでした。なので「やらないで後悔するよりはやって後悔する」方が好きなので「やりたいことはやっておこう」という姿勢がより強くなりました。

パラセーリング。気持ち良かった~!

富士登山。最高でした。

そして暮れにはケーキ工場でクリスマスケーキ作りのアルバイト。流れてくるケーキにひたすらイチゴをのせるのです。ず~~~っとやっているとクラクラしてきてイチゴは落とすはケーキに指を突っ込むは、申し訳なくて「私をクビにしてください!」と心の中で叫んでました。それでも楽しかった。

泣いても笑っても同じ一生ならできるだけ笑って過ごしたいと思っています。

コロナにもだいぶ慣れてきました。お時間があれば寺に遊びにいらしてください。一緒にお茶を飲みながらバカ話しして笑って免疫力を高めましょう。