許すべきか許さざるべきか

許すべきか許さざるべきか

檀家のSさんから電話があった。ここ何年も音沙汰がなかった人だ。10年ほど前に奥さんが亡くなりうちに墓所を求め檀家になった。奥さんの看病で失業中、子供達もまだ中学生と高校生、お金が無いということで葬儀のお布施も形だけだった。もちろんお布施はその人ができることをすれば良いのであって子供達を育てるのにお金を使うのが優先だからそれで良い。そんな状態なのにお墓を建てた。親から借りたのだろうか偉いなと思っていた。そのうち寺に納めるべきものが滞り音信不通に。Sさんの親戚と話をする機会があり「Sさんはどうされてますか?」と聞いたところ意外な話が伝えられた。奥さんが亡くなった時Sさんに保険金などでかなり大きな額のお金が入ったのだと。それらのお金を全てお酒とバクチにつぎ込み、子供達の相続したお金も全て使い果たし、あげくに身体を壊して今は生活保護を受けているという。そのSさんからの突然の電話だった。「兄が亡くなったんだがうちのお墓に入れても良いか」という問い合わせだった。

この後寺をやっていくことになるであろう心優しいうちの副住職に「どうする?」と聞いたら「お骨の行き先がなくなっちゃうならかわいそうだから入れてあげるしかないんじゃない」と答えた。

ちなみに、どこのお寺のお墓も同じだと思いますが、檀家さんは旦那寺でお葬式をしないとそのお寺のお墓には入れません。葬儀屋さんが「お坊さん呼ばないでやるのが流行りですよ」とかいうらしいですけど気を付けてください。

はてさてどうしたもんじゃろのう。