住職のつぶやき

洗濯機

うちの洗濯機はよくしゃべります。「あと3分でお洗濯が終ります」「お洗濯が終わりました」なんてのは序の口。「いつも沢山のお洗濯お疲れ様です」てな事をいって労ってくれたりもする。この間は「前回のお洗濯では洗剤を入れすぎでした。沢山入れても効果は変わりません。適量を使いましょう」とダメ出しまでされた。洗濯機に諭すように叱られるのはチコちゃんに叱られるよりこたえます。

お役ごめん

昨年、色々お手伝いしていたおばあちゃんからお役ごめんになりました。

私はケチで口うるさいんです。雑巾は買うものではなく使い古したたタオルを使う、不織布マスクも何回かは洗って使う、お米もお金が無い時は安いのでもいいじゃない。などなど。

なんでわざわざここで言うかというとこの間「ブログよみました。近所のおばあちゃんのお手伝いまでして、大変ですね。」と言われたので、一応お役目ごめんになったご報告もしておきます。

黙食

先日、久々に仕出し屋さんのお料理をいただきました。新型コロナが流行ってからは法事のお斎も通夜ぶるまいも精進落としも無いことが多く、あっても辞退してきました。仕出し屋さんはさぞかし大変なことと思います。

昨年末のご葬儀の時は火葬場で食事をするという葬儀屋さんに「この時期に会食するんですか?」と言ったところ「炉前でお経あげて帰られるご住職も多いです。」と言われた。都会はそうなのか。では、そうします。と帰ったのですが、後からとても気になっていた。クラスター発生になったらどうしよう。一緒にいて前みたいに「しゃべらないで食べましょう」と声をかけた方がよかったかなとか。

で、先日のお葬式。やはり火葬場で食事をするという。後であんなに気を揉むぐらいならというわけで会食となりました。喪主のご挨拶の後、やおら立ち上がり言いましたよ。「こういう時です。食べるときはしゃべらず故人を偲んで食べてください。食べ終わってマスクを着けてからお話してください。万が一感染者が出たら亡くなった方も悲しみます。」こんな事葬儀屋さんも喪主さんもお出でいただいた方々に言えませんよね。坊さんである私しか言えません。その後シーンとした中でみんな黙々と食べました。目の前で食べていた喪主さんが食べ終わって一言「黙って食ってもちっとも旨くねぇな。」

そうですね。早くおしゃべりしながら食べられる日が来るといいですね。もう少しの辛抱です。

沛然として徳教四海に溢る

このところ「知り合いがお坊さんにお布施が少ないって怒鳴られたという話を聞いて・・・」「実家の葬式にきた坊さんがお布施が少ないって飲んで騒いで・・・」というお布施に文句をいうお坊さんの話を立て続けに聞いて、これは仏さんが私に「気をつけなさいよ。」と警告しているのかと思いました。お布施に文句を言ったお坊さんが堕ちる地獄があると『鬼灯の冷徹』に書いてあったので文句は言いませんが、「この家に盗聴器があったらおしまいだな」と子供がつぶやくようなことは時々漏らします。

そんな時にお葬式ができ戒名を考えていて不思議なことがありました。戒名を考えるときは5冊ぐらい本を並べて、使いたい漢字から調べていくのが常ですが、何故だかこの時は普段開けないようなページを開けたのです。そこにあった「沛然として徳教四海に溢る」という言葉が目に留まりました。どういう意味なのかよくわからなくてググりました。孟子の言葉なんですが「徳に感化された教えは水が低いところへと流れていくように自然と受け入れられていく」、私なりに要約すると誠実な行いは認められていくということかと。お布施に文句をいうのではなく誠実にしていればやがては通じる。このことを仏さんは私に伝えたかったのでしょうか。この時戒名を考えていた故人の息子さんが「同業者と話をしていて、もっとこうしたらと思うけどみんな儲ける事ばかり優先してわかってもらえない。」という話をされました。「徳教四海に溢るだよ。誠実な仕事はやがてみんながわかってくれる」と伝えました。亡くなった彼のお父さんが彼に伝えたかったのかもしれません。

仏さんはこんな風に時々お導きくださいます。ありがたいことです。

年賀状

お年玉付き年賀ハガキの当選番号が決まりましたね。年賀状だけのお付き合いになってしまっている人とは一年かけて会話をするような年賀状になってきていたりしますが、それはそれでいいかなと思っています。色々な年賀状が来ましたが、今年うちで一番うけたのはこの3月で90になる叔母からの賀状です。新春の挨拶に添えて手書きで「大変お世話になっております。厚く御礼申し上げます。私はどんどん耳が悪くなってきました。長生きかナー」とありました。「すでに長生きだろ!」と家族みんなでハガキに突っ込みをいれたのは言うまでもありません。ちなみにこの叔母は80過ぎて水泳のインストラクターの資格をとり、今も週に何回かプールに通い4種目泳いでくるそうです。4種目にはバタフライも入ってます。脱帽です。還暦なんて鼻たれですね。頑張ります。

「ずっと幸せでした。ありがとう。」

高校時代の同級生に頼まれてお父様の葬儀の導師を務めた。同級生というご縁でこんな大事な役目を私に頼んでくれたことは大変嬉しい事だった。故人は満90歳でいらしたので大往生とはいえ、ご遺族の悲しみが大きいことに変わりない。お花入れのお別れの場は涙にあふれていた。同じく90歳だというお母様が棺の中のご主人に「ずっと幸せでした。ありがとう。」と語りかけていた。友人が最後にお父様からかけられた言葉も「ありがとう。」だったという。私も「ありがとう。」と言われて人生の幕を引きたい。また、「ありがとう。」という言葉を残してこの世を去りたい。