アルバイト

アルバイト

「帰りの切符をなくしてしまったのでお金を貸してください。」「もう三日も食べてないんです何かください。」「(首からさげたボードをみせる)僕は話せません・・・」色んな理由で物乞いに来る人がいる。

今日は「アルバイトさせてください。」とやってきた。何年か前に草むしりをさせてもらったという。そういえばお寺さんたちの集まりで物乞いに来る人の話が出た時に「そういう時は仕事させなきゃ」と言われて、そういうものかと納得した直後に訪ねてきた不運な物乞いがいた気がする。今はお盆前で、すでに境内も墓地もきれいにしてあり、ほとんどむしる草などない。でも「じゃぁ、ちょこちょこ出てきている草を片付けてください。水分補給して、休み休みやって下さいね。」とペットボトルのお茶を一本渡した。

何年か前に真冬に来た人は「失業してしまって、これから七沢の方まで行くのだが・・・」と言って申し訳なさそうに無心した。少しのお金とお菓子、そして真冬だったので先代が遺した使ってない暖かい下着をいくつか渡した。それから一年ほどたって私の留守中にその人は訪ねてきた。「あの時はもう死んでしまおうかと思っていたのですが、あの時よくしていただいて、思い直して寿町のボランティアを頼りやり直すことが出来ました。」とお礼を言いに来たのだそうだ。これは住職になってから嬉しかった話のベスト1だと思う。

さて、アルバイトのおじさんはどうしているかな。いくら曇っていてもこの時期のこの時間帯(現在昼の二時半くらいです)に長時間の外仕事はさせられない。私もそこまで鬼じゃないから。