悪質タックル

悪質タックル

この数日新聞やワイドショーをにぎわしているアメリカンフットボールの悪質タックル事件、試合で悪質なタックルをし相手選手に怪我をさせたという事件、その当事者、怪我をさせた方の選手が記者会見を開いた。記者クラブでのきちんとした会見だった。名前と顔を出し自分の精一杯の謝罪の気持ちを現そうとする会見のようにみえた。この会見での彼の話が事実ならば、驚いたのは悪質行為をするに至る過程で名前が出ている監督以外にもコーチ、学生スタッフというこの事件に関与した人間がいるということだ。なんで誰も止められなかったのか。監督の指示がおかしいと誰一人思わなかったのか。いじめをみないふりする人たちと同じ嫌なにおいがしてやりきれない。

「20歳になったばかりなので特別な配慮で弁護士の同伴を認めました。」「アップばかりを撮らないようご配慮いただきたい。」記者クラブの人、弁護士が当人の会見に先立って話した言葉にはまだ子供であり未来ある青年でもある当人への心遣いを感じた。これが大人が子供に見せるべき態度だと思った。

『しゃばけシリーズ』の作者、畠中恵さんが『つくもがみ、遊ぼうよ』という作品の中で江戸の捨て子事情についてこんなことを書いている。「子は天が授けてくださった宝だからな。ちゃんと大きくなるまで、育てて貰えるさ。そして、だ。拾われた子はその内育ち、いずれ独り立ちして親となる。また幼い子が置き去りにされていたら、今度は己が拾って、育ててゆくのさ。大事に大事に、神様から託された命を養ってゆく。」社会全体、みんなで子供を育てていく。いつからそんな大事な事をこの国は見失ってしまったんだろう。どの子も自分の子供と同じ大事な子供なのに。

この事件の当事者になってしまった二人の選手の身体と心の傷が一日も早く癒えますように。