住職のつぶやき

お盆

このコロナ禍の中でお盆のお棚経をどうするか役員会で話し合ったところ「密にはならない」「時間が短い」そして一度無くすとこういうことは復活が難しくなるだろうということで例年通り回ることにしました。もちろん気になる方は遠慮なくお断りくださいという一文を添えてのご案内をしました。約30パーセントの方からご供養は寺でお願いしますというお断りがあり、また、できるだけ滞在時間を少なくしてまわったため時間に余裕のあるお棚経でした。棚経を断った方の中には緊急事態宣言中に田舎で親戚が無くなり葬式に行けなかったのでせめて新盆にお線香をあげに行きたいという方もいらっしゃいました。お葬式すらまともに出せない状態が続いています。異常事態であることを強く感じます。

朝、寺を出発前に検温し熱発が無いことを確認。口元にマウスシールドを着用して回りました。普段は塗香で清めるのですがアルコールを小さいスプレーボトルに入れて持ち歩き手指消毒をしてからご供養をするという一風変わった様子となりました。お経も声を抑えて早口に、挨拶もそこそこに余分な会話をせず感染防止に努めました。「あの夏はあんなだったねぇ。」と笑い話になる日が早く来るといいのですが。

大施餓鬼会

去る8月3日大施餓鬼会が奉修されました。新型コロナウイルスの感染を防ぐ為、例年と異なり、僧侶は三光寺住職、副住職の二人のみ、参列者は檀信徒を代表して役員さん8名と今年新盆精霊をお迎えする家の代表者で参列を希望された方4名で行われました。マスク着用は当然の事、玄関で体温測定をし発熱のないことを確認してアルコールジェルで手指消毒をしてからの参列をお願いし、お堂の窓も隙間を開け感染予防に努めました。

参列者を限定したので今年はお供物が上がらないのではないかと心配していました。僧侶も少ないお供物も少ない施餓鬼供養で申し訳ないと思っていたところ、みなさん施餓鬼会前にお供物をお届けくださいました。暑い中、多くの方が大施餓鬼会の前に供養料、お供物を届けに来て、また後日改めて塔婆を取りにおいでになりました。何度も寺に足を運んでいただいて本当にありがたくて涙がでました。

来年はいつも通り近隣のご僧侶をお招きして檀信徒さんも参列して大施餓鬼会ができるといいなぁと何でもない日常のありがたさを思うのでした。

 

鬼滅の刃

『鬼滅の刃』今、人気のコミックです。最新刊は発売当初どこの本屋さんも売り切れで、「売り切れました」の貼り紙が出るほどでした。ステイホームの期間中は貸本屋さんの棚はずっと空の状態で最近ようやく借りられるようになりました。人を喰う鬼と鬼を倒す鬼殺隊の戦いのお話しです。その中で一貫して叫ばれているのが「強い者は弱いものを守らなければいけない」ということです。私が子供の頃は弱いものイジメをするのは卑怯で恥とされていたのですがいつからそれが無くなったのか。イジメ、パワハラ、虐待、老人を狙った詐欺・・・世の中に溢れています。このコミックが人気ということは「自分が強い事に感謝し、強くないものを守っていく」そんな感覚が受け入れられているということなら喜ばしいことです。それを実現していってくれるともっと嬉しいと思います。

お棚経・白玉ぜんざい

今夏最初のお棚経に行きました。お盆のちょっと前ですがお施主さんのご都合で今日になりました。檀家さんではなく信者さんのお宅です。30年近く前に亡くなった僧侶だった叔父のご縁を先代が引き継いで私に至ってます。うかがうと毎年冷たく冷やした美味しい白玉ぜんざいを出してくださいます。7月お盆は時間に余裕があるで美味しい白玉ぜんざいを堪能しながら色んなお話しをするのが恒例でした。でも、今年はそういうわけにはいかないと毎年楽しみにしている白玉ぜんざいの顔も見ないうちに「こういうご時世ですので今年はこれで失礼します。」とそそくさと帰ってきたのでした。

来年はゆっくり食べられるようになっていることを祈らずにいられません。お大師さん、優秀な研究者の皆さんにどうぞお力をお貸しください。新型コロナウイルス感染症を治す薬、ワクチンや感染を防ぐ手段 が開発されますように。

梅干し

今年も梅の季節になりました。先一昨年ぐらいから梅干しを漬けるようになり、昨年は大施餓鬼会に出席されたお檀家さんに少しずつですがお配りして喜んでいただきました。今年も張り切って30キロほど漬けたのですが、今年の梅は何故か傷が多かったのでカビてしまわないか不安になってきました。しょっぱいのがあまり好きではないので常温保存できるといわれているギリギリの塩分にしているのでよけいです。昨年根っこの付いた赤紫蘇を買って葉を使ったあと土に植えたら花が咲き種がこぼれて庭にいっぱい出ているので、綺麗な赤い梅干しが作れそうです。

どうぞ上手くできますように。

横田滋さん

横田滋さんが亡くなった。北朝鮮に拉致された横田めぐみさんのお父さんだ。横田めぐみさんは私と同年代である。中学生で北朝鮮に拉致されたことを思うと恐怖でしかない。親は自分が辛い目に合うより子供が辛い方がもっとつらい。その思いを40年以上もしてきて、解決を見ないまま亡くなられたことを思うと涙がでる。よその国の人間を拉致するなんてありえないことだ。拉致された自国民を取り返してくれないこの国は何なんだろう。

先日、花火業者たちがサプライズ花火を打ち上げた。新型コロナウイルス感染症の収束を祈っての厄払いの花火だ。ミサイルを打ち上げても厄払いにはならない。そんなことすらわからない国にどう接すればいいのか。

横田滋さん、お疲れ様でした。どうか、拉致問題が解決しますよう見守ってください。私も一日も早い解決を祈ります。