今年の漢字『学』

今年の漢字『学』

昨年の漢字は『漬』でした。梅干し、長野のスンキ漬け、金沢のかぶらずし、色々漬けて楽しみました。

今年の漢字は『学』です。色々なことを学びました。今まで知った気になっていたことが実際にはわかっていなかったということを学びました。「普通が一番」亡くなった父がよく言っていた言葉です。目立ちたがりの子供だった私の行動を縛る言葉でした。ちょっと意味が違うかもしれませんが今年は新型コロナの為に普通ではない生活を強いられました。マスクの着用、三密を避ける、会食をしない、など。沢山の人が病気以外に発生した影響で困窮しています。「風が吹くと桶屋が儲かる」飲食業は名指しで営業を制限されていたのでもちろんですがアパレル業界、クリーニング店、色々なところに影響が及んでいます。こんな風に影響が拡がっていくとは考えていませんでした。生活困窮者が急増しているといいます。生活困窮者と言えば、日本では自分から申請しないと生活保護などの助けが受けられないということは「成年後見人」の勉強をしたときに聞いてはいたのですが、自分から申請できる能力すらない人もいる、むしろそういう人たちこそ本当に公的な助けが必要なのだということも知りました。アメリカから一時帰国した友人が言ってました。彼女はトランプ支持者が多い街の富裕層の一人です。「オバマケアみたいなことをしたら働かない人間を甘やかすだけよ」働かないのか働けないのかそこが大きな違いです。私の知っている生活困窮者は働けない人だと思います。料理ができないので食費を節約できない。節約を考えられない。実際に見るまでそういう人がいるとは思いもよりませんでした。中学生の時、何をしでかしたのかは忘れてしまったのですが、普段すごく穏やかな女性の理科の先生に「みんながあなたと同じようにできるわけではないんだから!」とすごい剣幕で叱られました。あれから50年近くたってようやくその意味を理解しました。運動能力や音楽の才能は持って生まれたものだと思っていましたが、それ以外も人にはそれぞれ与えられたものがあるということです。持って生まれた能力も生れ落ち育った環境も与えられたものなのです。何年か前の東大の入学式で社会学者の上野千鶴子さんが「・・・恵まれなかった人をさげすむのではなく、恵まれなかった人たちの力になるように・・」というような祝辞を送ったことを思い出しました。普通に物事を理解し対処できる能力、普通に食事をし必要な物を買える環境、特に恵まれていると思ったこともなかったこの普通がありがたいということを還暦を前にようやく学んだのでした。

ところで給付金10万円はどうしました?お陰様で私は収入に減少は無かったので何か所かに寄付をして旅行に行って外食をしてほぼ終わりました。正しい使い方ができたかと思います。焼肉屋さんを営む檀家さんが、「狂牛病とか色々な試練を乗り越えてきたけど今度こそもうダメかもしれない」と言ってました。感染者が増えている時に言うのもまずいかもしれませんが、家族で食事をするなら家でも店でも同じかなと思います。給付金がまだ残っていたら無くなったら淋しいと思うお店で食事をしてください。こういうときこそ思いやりをもって助け合っていきましょう。