ひとり

ひとり

先日、急に音信不通になったKさんを尋ねて東京都小平市まで出かけた。

Kさんは昔の職業婦人で80歳を越えてもお一人で暮らされていた。Kさんは亡くなったお姉さんの遺産を受け継ぐのと一緒にお姉さんの家のお墓を受け継ぎ守ってこられた。ご自分はキリスト教徒でらしたが、お寺のことはきちんとしてくださり、遠い所からお墓参りにもよくおみえになっていた。最後にいらしたときは、目がだいぶ不自由になり自分も年をとったので次回来たときにはお墓の今後を相談したいとおっしゃっていた。

そのKさんから音沙汰がなくなった。なんでもきちんとされてきたのに。とうとう手紙が戻ってくるようになった。様子を見に行かねばと思いつつ月日が流れようやく先日住所を尋ねた。Googleマップのいうままに住所までは難なくたどり着いた。でも、そこにはすでに違う人が住んでいた。隣の人に聞いても引っ越したことしかしらない。管理事務所に聞いても親戚の人が手続きして引っ越されたことしか教えてもらえない。個人情報の保護だからしかたない。親戚の人に連絡をくれるように伝えて欲しいと頼んでも「できません」。

もう、Kさんはご自分で動けない状況なんだろうと確信した。責任感の強い、きちんとされた方だった。あんなに遠い所から目が不自由でらしたのにお参りくださっていたのだ。改めて今までのお力添えに感謝するとともに、言い辛くてももっと早くKさんが動けなくなったときの話をしなければいけなかったと反省している。

Kさんを尋ねる道には満開の桜が並んでいた。美しいその景色は律儀なKさんからのお布施だったかもしれない。