入院した部屋は四人部屋でした。無料の六人部屋は今は無いようです。みんなカーテンを引いてプライベート空間を作っています。だから同室の人の声は聞いても姿を見ることはあまりありませんでした。
そう、声は聞こえるのです。隣のオバサンはどうやら入退院を繰り返しているようで看護師さんたちとも顔見知りのようでした。主治医と思われる人が来て緩和ケア病棟へ移る話しとなりました。翌日には家族が来て必要書類を書くのにオバサンはそれすらできない状態のようでした。その翌日には病棟を移っていきました。あの「すみませ~ん」はナースコールを押せないほど具合が悪かったのかと思うと申し訳ない気持ちになりました。
熱も下がりお腹の痛みもなくなり食べない生活にも少し慣れたけど、血液検査の結果をみて「もう少し絶食ね」とドクターに言われガックリしていたら、斜め前のベッドのオバサンに看護師さんが「今日から食事ですよ。25日ぶりのお食事ですね。」と言ってるのが聞こえてきました。4、5日の絶食でピーピー言ってすみません。
退院前日には向かいのベッドに若いと思われる人が入ってきました。糖尿病のようで病気から引き起こされる様々なことの説明を受けていました。彼女はこれからの人生ずっと病気と付き合っていくのか。大変なことです。
私のスペースからは面会に来る若い男性との会話が漏れ聞こえていたと思います。葬儀を一人でやることになった弟子との会話が。「初七日は…」「火葬場が近いから…」「お経は…」「お別れの時…」……ごめんなさい。