住職のつぶやき

ありがたい

この間、嫌な思いをすることが続いた。

名前を名乗らず最初から喧嘩腰でいきなり「お墓の権利を持っているものですが、父がなくなったので権利を返したいのですがどうすればいいですか?」という電話があった。お名前をうかがうとうちに墓所をとり長年きちんとお檀家さんとしてお力添え下さった方の家だった。故人はきちんとご供養していただけたのだろうか・・・胸が痛んだ。

法事に持ってくるものを尋ねておきながらまともに仕度をしてこない家が続いた。悲しい気持ちになった。

こういうことがいくつも続くと暗~いきもちになる。

そんな時にあるお檀家さんが「この間話したお酒持ってきました」とお酒を届けてくれた。法事のあとのお齊の席で「住職、盛升のこの時期にでるしぼりたて呑んだことある?美味しいよ。」「話だけじゃねぇ(笑)」という会話を覚えていてわざわざ持ってきてくれたのだ。お酒が美味しかったのはもちろんその気持ちが嬉しくて、暗くなっていた気分がいっぺんに明るくなった。仏さんが「こういうお檀家さんもいるでしょ」と励ましてくれたのかもしれない。ありがたい。これからも頑張ります。我ながら単純だなぁ。

 

 

土地区画整理

伊勢原北インター開設に伴ってその近辺の土地を効率的に土地利用しようという計画が7年ほど前にだされ、伊勢原市、地権者を中心に「研究会」などの名称で検討が始まった。現在は土地区画整理組合設立準備委員会という名前で進められてきている。「まとまった土地区画整理をするかどうかを検討する」と言っていたのが久々に参加した総会では「事業化検討パートナーを選定する」という話で、すでに土地利用は「産業系(工場など)」が対象と決まっていた。地権者は現在持っている土地の半分位を出し合いその処分金と市の助成金を使って支出をまかない、赤字補てんは地権者だという。区画整理事業をすると土地の評価額があがるらしいが、売る土地のないものにとってはまったく関係ないように思われる。公共施設(上下水道など)の整備が進むらしいが本来行政がやるべきことのように思う。もっと驚いたのは112名中出席28名委任状40名でそのうち38名が会長一任。ということは会長の意見で多数決が決まるということ?この調子ですべて進んでいくのだろうか。あの地域の人たちがそれを望むなら寺としてはあえて反対することもないかと思う。でも、なんだかなぁ・・・。

観光に力を入れているように見える伊勢原市だが何を目指しているのか。都心から近い緑豊かな観光地で売りたいのではないのか。自然の中で癒されようと訪れた観光客がインターをおりて目にする工業地帯に何を思うだろう。

お彼岸

お彼岸でたくさんの方がお参りにみえる。本尊さんをお参りしてそれぞれのお墓をお参りされる。

うちのお寺は境内墓地の他寺から少し離れたところに二か所墓地がある。その一つの墓地には無縁仏塔があり後の供養をする人がいなくなった無縁さんが眠っている。お彼岸に墓地に行くとその無縁仏塔にお線香が手向けられているのをよく見る。「うちのお檀家さんたちは優しいなぁ」と嬉しく思いながら手を合わせる。自分の父、母で二人、そのまた父母で4人、そのまた父母が8人・・・こうして10代さかのぼっただけで1024人になる。私の命のつながってきたもとのたくさんのご先祖様の中にはどこかで無縁さんとなっている人もいるにちがいない。今ある自分の命に、つながってきた沢山の命に、その命を支えてくれたたくさんの命に感謝したい。お彼岸とはそういうことを考える日かと思う。

 

センテンススプリング!

ようやく3月になり怒涛の2月が終わりました。

 2月は週二日のアルバイトがお休みの時期ということもあって、ここぞとばかりに家族旅行の予定を入れて遊ぶ気満々だったのですが、なんとお葬式が月に4回という私が住職になっていらいの新記録が樹立されたのです。一月の末にも一回あったので気分的には5回です。明日やれることは今日やらない、夏休みの最後は宿題に追われて常に泣いているという性分なので、やらなければいけないことが山積みになったのは言うまでもありません。6年ほど前にほぼ連続して3回ということがありました。この時は斎場もずっと同じ場所だったので斎場の人と「住職、泊まってく?」「嫌だ!帰る!」と冗談を言いあった記憶があります。その時いらいのできごとでした。

某週刊誌センテンススプリングは何年か前に『寺はすごい儲けている。お葬式一回のお布施が平均50万円(これは結構あってます)、月に25回として(週休二日設定?)それだけで月に1250万の収入がある(すげ~っ!)』というような記事を載せてました。月に25回のお葬式。ご戒名を考えて、書き物(お位牌、塔婆、など)をして、枕経、お通夜、お葬式・・・地域や状況で省けるところがあるとしても・・・無理。ちなみに、うちのお寺ではお葬式は普通月に1回あるかどうかです。月に4回というのはもう超ビックリなんです。月に4回のお葬式でさえ忙しくていっぱいいっぱいなのに、25回なんて・・・。センテンススプリングさんもうちょっと考えて試算してください。

 

真珠湾

安倍総理が真珠湾を訪問し、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊した。

あれはもう20年ほど前になる。父(先代 常善和尚)が「ハワイに行きたい。」と言い出した。「どこに行きたいの?」父が行きたかったのは一か所だけ、『パールハーバー』だった。昭和3年生まれの父は14歳で家族の反対を押し切り予科練に入った。終戦があと3日遅かったら生きて帰ってこなかっただろうと聞いている。パールハーバーで海に向かいスーツに輪袈裟をかけ珠数を手に祈る父の姿が忘れられない。

子供の頃は「愚かな戦争に自分から行ったなんて馬鹿じゃないの」と思っていた。少し大きくなってからは戦争が始まってしまったら「自分の愛する家族、友人を守りたい」そういう気持ちが止められなかったんだろうと少し理解できるようになった。

戦争が始まらないように、今が戦前にならないように一人一人が気にかけていくべきではないだろうか。それが、自分の大切な人たちを守ることになるのだと思う。

来る平成29年が良い年になりますように。

 

米大統領選

トランプさんが勝利した。

先日EUを離脱したイギリス、そしてトランプ氏を大統領に選んだアメリカ、先進国と呼ばれ世界のリーダーとして走ってきた国が世界を見ることをやめ自国の保護にのみ目を向けることになったということか。自分の国さえ良ければ良いという考え方を支持する人が多いということだろう。テロなど暴力による主張が増加しているこの状況で自分だけが潤えばよいという考え方はあまりに利己的で恐怖を感じる。